発達障害を持つ方は多くいますが、診断されて障害者手帳を取得できるか気になりませんか?
「体は不自由ではないのに手帳を取得できるの?」と疑問を感じることもあれば「生き辛さを感じるから取得できると助かる」と思うこともあるでしょう。
発達障害を持つ方は障害者手帳の取得ができます。
むしろ取得をしないと、税金が安くならない上に障害者雇用で働くチャンスを得られません。
この記事では発達障害を持つ方が取得できる障害者手帳について解説します。
取得のメリットや取得方法についても解説しますので、ぜひご覧ください。
障害者手帳とはどのようなもの?
障害者手帳とは身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3つに分かれます。
手帳を取得できると障害者総合支援法の対象となり、さまざまな支援や自治体によるサービスを受けることができます。
どの障害を持つと手帳を取得できるのか、下図の表にまとめてみました。
| 身体障害者手帳 | 療育手帳 | 精神障害者保健福祉手帳 |
| 視覚障害 聴覚・平衡機能障害 肢体不自由 心臓機能障害 腎臓機能障害 呼吸器機能障害 ぼうこう・直腸機能障害 小腸機能障害 HIV免疫機能障害 肝臓機能障害 | 知的障害 | 統合失調症 気分障害 非定型精神病 てんかん 中毒精神病 器質性精神障害 発達障害 その他の精神障害 |
身体障害者手帳は体の機能に障害がある方が取得できる手帳で、療育手帳は知的障害を持つ方が取得でき、精神障害を持つ方は精神障害者保健福祉手帳を取得できます。
発達障害者が取得できる手帳
発達障害を持つ方が取得できる障害者手帳は、精神障害者保健福祉手帳です。
障害の状態によって等級が分かれ、1級から3級まであります。
| 1級 | 精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの 発達障害によるものはその主症状とその他の精神神経症状が高度なもの | |
| 2級 | 精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの 発達障害のよるものはその主症状が高度なもので、その他の精神神経症状があるもの | |
| 3級 | 精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの 発達障害によるものにあっては、その主症状とその他の精神神経症状があるもの | |
上記の文面を分かりやすく要約すると以下の通りになります。
- 1級
他者のサポートがないと自力で生活ができない状態 - 2級
基本的に自力での生活が送れるが、一人で対応できない状況も起こる状態 - 3級
通常の生活を送ることができるが、対応の変化に弱い状態
また発達障害については主症状とその他の精神神経症状の程度を総合的に判断して等級が決まります。
両方とも程度が重ければ1級で、軽ければ3級、どちらかが重ければ2級です。
参照:・精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について(◆平成07年09月12日健医発第1133号)
障害者手帳を取得する5つの代表的なメリット
ここからは障害者手帳を取得すると得られる5つのメリットを紹介します。
どれもありがたい制度なので、ぜひ活用しましょう。
国税・地方税などの税金が安くなる
障害者手帳を取得するメリットの1つ目は国税や地方税などの税金が安くなることです。
各所得税の割引額は以下の表をご覧ください。
| 特例の区分 | 障害者 | 特別障害者 | |
| 所得税の障害者控除 | 27万円 | 40万円 | |
| 相続税の障害者控除 | 障害者が85歳に達するまでの年数1年につき10万円 | 障害者が85歳に達するまでの年数1年につき20万円 | |
| 贈与税の非課税 | 精神に障害がある方については、信託受益権の価額のうち3,000万円まで→非課税 | 信託受益権の価額のうち6,000万円まで→非課税 | |
| 心身障害者扶養共済制度に基づく給付金の非課税 | 給付金→非課税(所得税) 相続や贈与による給付金を受ける権利の取得→非課税(相続税・贈与税) | ||
| 少額貯蓄の利子等の非課税 | 350万円までの預貯金等の利子等→非課税(所得税) | ||
この特例は障害者を扶養している方も適用され、同一生計配偶者又は扶養親族が障害者だと、上記の表と同じ1人当たり27万円(特別障害40万円)の控除を受けられます。
同一生計配偶者って?
居住者と生計を一にする配偶者のことで、所得金額が58万以下が特例を受ける条件になります。
(※青色申告者の事業専従者として給与の支払を受ける方及び白色申告者の事業専従者は除く)
参照:障害者と税|国税庁
医療費が割引になる
2つ目のメリットは手帳を取得していると、医療費控除の割引を受けれることです。
特に発達障害のような精神障害の場合は長期間にわたり治療を続けるので、家計の負担が重くなりかねません。
しかし手帳を取得しておけば、医療費が割引になるので、長期の治療でも安心して臨めます。
自立支援医療制度を活用しよう
うつ病や統合失調症などを患った患者を対象に、治療費の割引を受けられる制度です。
障害者手帳を取得していなくても申請できるので、診断されたら取得しましょう。
公共施設や交通機関の料金が割引および無料になる
障害者手帳取得の3つ目のメリットは、公共施設や交通機関の利用料金が割引・無料になります。
たとえばJRグループでは、障害の程度に応じて下記のように運賃が半額になります。
| 区分 | 割引乗車券の種類 | 割引率 | 取り扱い区間 | ||||||
| 第1種精神障害者とその介護者(1人のみ) | 普通乗車券 定期乗車券 回数乗車券 普通急行券 | 5割 | 全線 | ||||||
| 第1種及び第2種精神障害者(単独) | 普通乗車券 | 5割 | 片道100キロメートルを超える区間 | ||||||
| 定期券を使用する12歳未満の第2種精神障害児に付き添う介護者 | 定期乗車券 | 5割 | |||||||
※第1種精神障害者:精神障害者保健福祉手帳1級
第2種精神障害者:精神障害者保健福祉手帳2級または3級
基本的に片道100キロメートルを超えると半額になります。
旅行など遠出に出かけるときは運賃が高額になるので、手帳を取得していると旅行に行きやすくなりますね。
また東京都にお住まいの方では都営交通(都バス・都営地下鉄など)や都立施設の利用料金が免除になります。
都営施設は付き添いの方も無料になり、筆者も精神障害をお持ちの方と一緒に上野動物園に行って無料で入場ができました。
1日楽しめる施設が多いので、ぜひ手帳を取得して活用しましょう。
障害者雇用枠での就職が可能になる
4つ目のメリットは障害者雇用枠での就職ができるようになります。
障害者雇用を採用している企業では、障害について理解をしながら指導や業務の指示を行うので、発達障害を持つ方でも安心して仕事に取り組めるしょう。
障害者雇用は一般雇用と比べて定着率が2倍に
一般雇用の1年以内定着率が30.8%に対し、障害者雇用の1年以内定着率は70.4%というデータがあります。
障害を理解しづらい一般雇用と比べると大幅に障害者雇用での就職の方が働きやすいと言えるでしょう。
障害者求人はお近くのハローワークか障害者専用の求人サイトがありますので、ぜひ活用してください。
参照:障害者雇用の基礎知識について知ろう | TOKYO障害者雇用支援ポータル
障害年金を受給できる
障害者手帳取得の5つ目のメリットは障害者年金を受給できることです。
発達障害を患っていて日常生活を送るのに困難な状況になると、仕事を続けるのが難しくなるでしょう。
そのような状態になっても生活が送れるよう、年金の受給が可能です。
なお、障害年金を受給できるのは1級と2級の方のみですが、厚生年金を加入している方は3級でも受給できます。
年金を申請するのに必要な書類は以下の通りです。
- 年金請求書
市町村役場や年金相談窓口などで入手できます。 - 添付書類
本人の生年月日が分かる書類(戸籍抄本・住民票など)
診断書
受診状況等診断書
病歴・就労状況等申し立て書
本人名義の銀行通帳 - 身体障害者手帳
上記の書類が用意出来たらお近くの市町村役場へ申請してください。(初診日が国民年金第3号被保険者期間中の場合はお近くの年金センターなど)
障害者手帳を取得するデメリットはどのようなもの?
障害者手帳を取得するとデメリットも発生してしまいます。
デメリットとして以下の点が挙げられるでしょう。
民間の医療保険に入りにくくなる
障害者手帳を取得するデメリットとして、1つ目に取り上げたいのが民間の医療保険に入りにくくなることです。
理由として、すでに病気になってる人が保険に入ると、保険金を受け取れるケースが増えそうなのは考え付きませんか?
そうなると健康の人との公平性が損なわれ、保険会社としても簡単に保険金を患者に払うと経営のリスクが生じるので、審査を厳しくしています。
しかし、諦めないでください。
引受基準緩和型と無選択型保険なら、発達障害をお持ちの方でも加入が可能です。
| 引受基準緩和型保険 | ・審査が緩やかなので、持病や障害があっても加入しやすい。(1年以内に入院・近々入院予定などの例は除く) ・保険料が通常の保険と比べて割高。 | |
| 無選択型保険 | ・健康状態の告知の必要がないので、持病や障害を持っていても加入できる。 ・保険料が引受基準緩和型保険と比べてさらに割高な上、受け取り金額が削減されることがある。 | |
上記の保険なら発達障害による障害者手帳を持っていても加入できます。
一般の保険と比べると保険料が割高な上に、保険金が少なくなるデメリットもありますが、「いざという時に備えたい」と考えている方はぜひ検討してみてください。
出世ができない可能性が高くなる
障害者手帳を取得していると、会社での出世の可能性が低くなります。
考えられる理由は以下の通りです。
- 一般雇用での就職の場合
発達障害によって持っている能力を発揮できない分、会社からの評価が上がらない可能性がある。 - 障害者雇用での就職の場合
特性に合った仕事ができるものの、作業が限られる可能性があり出世が望めないことも。
このような理由で障害者手帳を取得していると出世の可能性は低くなります。
ただし、障害者雇用での就職では仕事内容が自身の特性に合っていれば能力がフルに発揮できるので出世が望めるでしょう。
発達障害を持っている方が課長や主任に昇格するケースもありますので、特性の合う企業を探してみてください。
プライドが傷つく可能性がある
障害者手帳を取得すると、自身が障害者となることで健常者と比較して気持ちが落ち込む可能性があります。
しかし、それ以上に手帳を取得するメリットは大きいですし、逆に取得しなかったことで生活が困難になることも考えられるでしょう。
手帳を取得して最初は受け入れられないかもしれませんが、長期的には大きな助けになりますので、前向きに手帳を取得してください。
障害者手帳はいつでも返納可能
障害者手帳は返納も可能なので、まずは手帳を取得して、どうしても受け入れられないときは返納を検討するのも一つの手段です。
精神障害者保健福祉手帳を取得する手順
精神障害者保健福祉手帳を取得するには下記の手順に沿って申請をしましょう。
- 申請に必要な書類の用意
- お住まいの市町村役場に申請
必要な書類を準備し市町村の窓口に行って申請
まずは申請に必要な書類を用意します。
精神障害者保健福祉手帳を取得するために用意する書類は以下の通りです。
- マイナンバーカード
- 申請書
市町村窓口に用意 - 医師の診断書
初心から6カ月経過したものを作成し、作成日から3カ月以内に提出 - 本人の写真
縦4cm×横3cm、脱帽・上半身を移したもの。白黒・カラーどちらからでも可能
申請に必要な書類が揃ったらお近くの市町村役場の窓口へ申請に行きましょう。
参照:2506333_精神障害者手帳制度リーフレット.indd
障害者手帳取得で気を付けたいこと
障害者手帳の取得について注意点があることを忘れてはいけません。
以下の点について気を付けながら取得をしましょう。
有効期限がある
障害者手帳について1つ目の注意すべきポイントは有効期限があることです。
身体障害者手帳では有効期限がないのに対し、精神障害者保健福祉手帳は2年間の有効期限があります。
期限切れを起こさないよう、有効期限をチェックする癖をつけておきましょう。
精神障害者保健福祉手帳はすべての等級で2年間の有効期限があるので、注意しましょう。
参照:障害者手帳・障害年金
発行までに時間がかかる
2つ目の注意すべきポイントは発行までに時間がかかることです。
精神障害者保健福祉手帳は手続きを行ってから発行までに2~3カ月かかります。(東京都では2カ月)
理由としては、審査制のためどうしても手続きに時間がかかるからです。
すでに手帳を所有している方は、更新の途中で有効期限が切れないよう余裕をもって手続きを行いましょう。
まとめ
この記事では発達障害を持つ方の障害者手帳取得について解説しました。
発達障害を持つ方は精神障害者保健福祉手帳の取得が可能で、税金が安くなり障害者雇用での就職が可能になるなど、メリットがたくさんあります。
医療機関から診断を受けて手帳の取得を勧められたら、迷わず取得をしましょう!
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